AgileJapan2014に参加してきました

6月27日(金)に、AgileJapan2014というイベントに事務局側で参加してきました。

AgileJapan2014の各コンテンツと感想なんかはTwitterとレポートがUPされると思うので、せっかくなので事務局側(ファシリテーター)の視点で書いてみたいと思います。今回はオープニング前のチュートリアルセッションのファシリテーターと、トラックCと位置づけされた公募セッション4つの進行役、それからクロージングセッションのサブファシリテーター的な役目をこなしました。

チュートリアルセッション】
毎年、アジャイル入門という内容で行なわれているセッションですが、今年はそこに「質問」のための時間を作らせていただきました。AgileJapanでは、ワークショップ型のもありますが、講義形式のものも多く、個人的に講義セッションは「話」と「質問」で成り立つものだと思っていて、鋭い質問で場が深まる(時には話し手さえ思考が深まる)、またホントに自分が分からなくて初歩的な質問をしてしまうことも時として「勇者」になりえます。普通に語られている言葉だと、ちょっと分かりづらくても聴き手は流してしまう事がありますが、初歩的な事にこそ本質が詰まっていたり、実行委員長に「Agileとは何ですか?」なんてことを聴くのは「バカな…」と思うかもですが、それが本当に語られるべきものだったりすると…。それからイベントでよくある「質問ある人~?」「シーン…」という質問時間はオマケ的に扱われる要因にもなる「恥ずかしさ」というか「空気を読む」感覚と、質問すら他の人に聴かれているので間違った質問をすると…という状況を変えたいと思っていました。

そこで、「質問のための時間」では、まずは挙手の練習から…。(笑)そして、次は「質問」自体についての説明を入れました。質問の時間には、講演内容から「問い」をぶつける事で深まりがありますが、時として、参加者が自分の共感したことを伝えたくなっていることがあります。(もしくは自慢や、講師が「はい」しか答えない。自論に満足感を与える類いの発言)そういう発言にならない練習として、聴いた話を一度ふりかえってもらい、そこから引っかかるものを抽出したら、質問として手を挙げる瞬間に自分自身に「なぜ、それを問いたいのか?」を問うことをやってもらいました。その説明の後に、実際にチュートリアルの質問部分を再開させてもらいました。多くの質問が出て、時間内に応えられなかった内容はTwitterで西河さんが後から丁寧に回答されていました。後で聴いた西河さんの感想としては「これだけ練られた質問はなかなか受けた事がなかった」と言っていただいたので、とりあえずはよかったのかと…。また、この「質問のための時間」は午後から担当するトラックCでも活かしていきました。


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今回の自分にとってファシリテーターとしての挑戦は、この「質問のための時間」をスライドなしでやってみたことです。理由は講師のスライドを出したままでも実践できることを目指したかったからと、スライドのPC入れ替えって実は「場」の流れを切ってしまうので、あくまでも質問は講演の一部であるという位置づけでやりたかったからです。
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【トラックC】
トラックCは午後からのセッションで、公募したセッションの内の4つが集まったトラックでした。公募してきていただいた方のセッションということで、トラックCの担当と決まった後に、事前にセッション内容の確認をメールベースで行なわせてもらいました。これは事務局での打ち合わせで決めていたことで、AgileJapanとしても初の試みだったこともあって、まずは運営側と講演者の不安は少なくしようという流れでしたが、個人的に場づくりも考えてみようと思ってメールのやり取りをさせていただきました。

01:開発現場以外でも「スクラム
  和島 史典 氏(GMOペパボ株式会社)
 
ある意味、質問を大事にしようと考えた元にもなるセッションでした。事前のメールでの打ち合わせで発表内容が予定時間の1時間に足りないかもしれないという心配をされていたので、参加者との質疑応答でちょうどいい時間になりますというやり取りをさせてもらいました。結果として、時間を少し越えるところまで質疑応答が続きました。参加者との場はできるものだと実感できたいい時間でした。

 02:効果的に試行錯誤を行うための仕組みづくり
   ~失敗はおはやめに、プロダクトの成長は着実に~
   染田 貴志 氏(株式会社ヌーラボ


こちらも事前の打ち合わせで、参加者とのディスカッションをしたいという内容をいただいて、一緒に場の流れを考えさせてもらいました。発表する内容が時間に対して結構あるということでしたので、参加者からのフィードバックをどう受け取るかに焦点を当てましたが、参加者自身がちゃんと話を聴けることも大事だと思ったので、内容を削るという方向ではなくて、「1対多」でのフィードバックの受け取り方として付箋に書いてもらって提出してもらうカタチにしました。書いてもらう「問い」は染田さんの方からご呈示いただいて、付箋は集めて持ち帰っていただきました。そして、なんとその内容について、しっかりと分析と質問には回答を書いたレポートをUPしてくださいました。感謝です。というか、こういうカタチはありだなと思いました。ちゃんと参加者と登壇者がその場でつながり、反応に対して丁寧に応える事で当日後にオンラインで終結するカタチ。

こちらが、そのレポート「効果的に試行錯誤を行うための仕組みづくり」についてお話しました

03:アジャイル経験0から3年で3億以上を稼いだ道のり
  ~とある中小ソフトベンダーの請負アジャイル開発実績~
  渡会 健 氏(株式会社アドヴァンスト・ソフト・エンジニアリング )

今回、初めてのプレゼンということだったので、話し手には話のみに集中してもらうようにしました。つまりは変わった事はせずに、話してもらうだけとして、話が終わった後の質問部分のみファシリテーターとして関わるというカタチ。渡会さんの話が、完全に物語となっていて、参加者は追体験をするカタチで聴いていたと思います。内容的には金額で出てくるということがあったのと、請負でのアジャイルという事でPMをされている方などが参加者には多かった感じでした。質問もPM視点や話の通し方などだったと記憶しています。


04:爆速!アジャイル革命 ヤフオク
  塚越啓介 氏(ヤフー株式会社)

そしてトラックCの最終セッションは、実際のタスクボードなどを持ち込んでくださり、セッションとしては事前のやり取りも含め一番工夫をさせてもらったセッションです。プレゼン後の進行については、実はぎりぎりまで悩みました。持ち込み資料については登壇者の他に参加してくださっていたチームメンバーの方に任せることだけは事前に決めていたので、プレゼン後に参加者が4パターンできることを想定しました。1.持ち込み資料を観て説明を聞きたい人、2.持ち込み資料だけ観たい人、3.登壇者に質問したい人、4.それ以外の人。悩んだのは、4の人への対応で、一時は感想をもらって帰ってもらっても良いかと考えましたが、セッションの最後にチームメンバーの方と登壇者からの感想を参加者に共有したいという想いがあって、4の人が何もせずに待っていてもらうというのをどうにかしたいと考えました。考えた結果、時間をうまくつなぐこととセッションに対する参加者の考えも深める意味もこめて、ペアでの共有時間を挟む事にしました。その上で、1~3の動きへの誘導と、4の人については、ペアで話を続けてもよいということと、プレゼンへのフィードバックを付箋に書いてもらうということとしました。*1というわけで、プレゼン後は、参加者の選択で場が分散して、講義形式では観られない不思議な場になりました。普通からみたらカオスでしかない感じでしたが、個人的には参加者にも登壇者(チームメンバー)にも大きな混乱はなく参加してもらえたのではないかと思ってます。

【クロージングセッション】

トラックCでのファシリでかなり疲れてたところもありましたが、クロージング担当をお願いしたやっとむさんに場をしっかりと渡す為に、最後の気力でクロージングセッションの準備に挑みました。クロージングということで、トラックに分かれて受講していた参加者がばらばらと集まる中、セッションのための配置に変えるために参加者に協力してもらって場を整えて行きました。恐らくですが、クロージングの頃には参加者の方の参画意識も高まっていて、こちらのだす要望に対して、積極的に動いていただけました。この辺りも普通に聴くだけのイベントとは違う感じがしました。クロージングのセッションが始まってからは、無意識に介入してしまいそうになったので、やっとむさんに委ねる意味で、言葉も発しないようにしてみました。掛け合いのファシリテーションは曖昧な部分をやる時はいい流れを生む事が有りますが、セッションデザインを個人に任せている場合、より自由にやってもらえる方がやりやすい時があります。この時はやっとむさんが私に合わせてくれる事も可能だったと思いますが、ファシリテートの言葉が参加者に混乱も生みそうだったこともあって、マイクを使わずに個別の対応に切り替えました。

最後までのやっとむさんのファシリテートで、多くの人が今年のAgileJapanのテーマである「集まろう、そして広がろう」と「明日を変える。チカラがつながる」を体感できたのではないかと思います。カードのつながりの写メがたくさんつぶやかれたことからも実感できました。

そして、クロージングセッション後はもう力つきていた事もあって、懇親会も途中で帰らせていただくという結果になりました…。確か去年も同じ結果だったような…。でも、帰りの電車は割と満足感があって、「全力でファシリテーションした」という投稿を思わずしてしまいました。

以上、書きなぐった感じになってしまいましたが、私のAgileJapan2014のふりかえりブログは終わります。

事務局の方々、登壇された方々、そして参加してくださった方々に本当に感謝です。毎年多くの初参加者がいるこの学びの時間。そこからきっかけをもらってアジャイルの実践が始まることを楽しみにしています。そして、ぜひ来年、公募セッションに応募してください。また全力で対応させてもらいます!

*1:実はこの最終セッションについてのアンケート欄が事務局側のミスで空白になっていて、それに対しての対応もあって付箋でフィードバックを返すということにしていたのでした。