【走り書き】エンジニアの新人研修は内製化と全体のデザインが大事

 2015年からフリーランスとして活動するようになり、ありがたいことにその年からエンジニアの新人研修に関わることができました。それから4年、毎年いろいろな企業の新人研修を全体のデザインから始めて年間通して研修を実施したり、スポットで数日間だけ関わったり、研修業者が用意したコンテンツを代理でファシリテートしたりと、様々な形で関わりました。

今年、2019年に関わった新人研修は5社。企業もスタイルも様々で、エンタープライズ系、ソーシャルゲーム系、ベンチャーサービサー)系、そして非ITというのも今年は含まれていました。

 

 私が請け負う研修は基本、グループ型の研修で、新人同士が教え合う形の設計が多いですが、今年は2つ初めてのことがあって、1つはしっかりとコンテンツが作られた研修にサブ講師としてサポートするという体験もさせてもらいました。もう1つは3年間内製化を進めてきた企業がついにファシリテーターも含めて完全に内製化で行ったことです。研修の前の期間に半年かけてファシリテーションの伝授やファシリテーターの在り方、グループ型の研修のポイントをお伝えして、実施中は日報、SNSでのフォローをさせてもらいました。1年間をかけての内製化は2社見させていただいて、どちらも内部の人のリソース最小化が肝になりました。企業の中で研修の内製化のプロジェクトが始まる場合、だいたいの場合が、業務との兼務になり、最初からリソースをがっちり確保できない状態で、いろいろ持ち出しでスタートすることが多いようです。そのせいで、プロジェクトのメンバーは疲弊していき、モチベーションも上がらず、人事などとの連携もうまく行えずに、なんとなく実施してしまうケースがあります。私がSIerをしていたころはまさにそういう状態で、結局「10日でできる…」系や本を渡して終了ということもありました。

 何か新しく兼務のプロジェクト始める時にはリソースは最小限で関われるようにする。これが外部から研修の内製化のお手伝いをする時に決めた基本事項です。もともと2012年から社内でエンジニアの育成を担当してのもあって、社内に必要な「学び」を現場の人とともに作り上げるというのをやってきていました。現場の人が協力してくださるということはかなり大変なことで、業務が忙しいところに、追加で何かをお願いして、「進捗どうですか?」と聞かれたりした日には、マウスを投げたくなることでしょう。そこで、リソースを最小限に抑える方法として私が意識して行ったのは以下の10こくらい。

1.現場のリソースは一人につき、週に1時間を基本とする。

2.打ち合わせ、検討事項、SNSや、タスクの状況更新、会議室の登録などは私が行う。

3.担当になったメンバーの人には持ち帰っての作業はゼロにしてもらい、週に1度集まった時にだけ作業してもらうようにする。

4.講義の内容は完璧を目指さず、骨子だけにする。

5.研修自体はメインを課題型として、講義はサブでこれも社員の人に週に1時間担当してもらう。

6.課題作成は別の課題を作る人たちだろうと同じ時間に広い会議室に集めてコワーキングスペースのような形で作業をする。

7.打ち合わせ、課題検討の会などはアジェンダはもちろん、打ち合わせのファシリテートは私が担当して、次の打ち合わせへの流れはもちろん、担当者通しの関係性の構築も行う。

8.担当からの要望はできる限り対応する。

9.新人と接することができる状態ならば、ヒアリングや面談、ランチ会など、内製化メンバーが具体的に研修する人をイメージしたり、関われるようにする。

10.途中で私の手は抜く。もしくは参加しない状況が発生した時は無理な調整はせずに任せる。

11.やってみたいとか、試してみたいというものはなるべく思ったままにやってみてからふりかえる。

12.研修は途中で新人たちの感覚含めて違和感が出たら、内容、スケジュールを変更する。

 

ここまで読んでいただいてわかるかもしれませんが、内製化を一気に2ヶ月で…とかはせずに(時には必要に応じて請けることがありましたが)、半年以上かけることを前提に行わせてもらっています。そうすることで、実は、企業内のエンジニア文化の明文化であったり、エンジニアの技術力の底上げ、人に関わることでのモチベーションUPというようなことがおきます。ただし、これを起こそうとしてやるのではなく、結果、そういう状況が発生したというのが正しいです。きっと、それらを狙って行ったら、担当してくれた方々には何か恣意的な対応になってしまい、一緒に作り上げるのが気持ち的に難しくなるので、やりません。育成者を育てたいという要望であれば、それを本人にお話しして対応することはやりました。まさに今年の研修のファシリテーターも内製化したというのがそれにあたります。新人研修がまったくゼロのところから完全内製化にもっていくには年数は必要で、そもそも新人研修が1年に1度しかないというのもありますが、最初から完璧かもしれないけど自分たちで考えて作らない研修では内製化にならんなくて、どうやって新人と関わりたいかという部分も含めて自助作用で振り返っていかないと根付かないイメージです。その年の新人は試しになるのか!?と怒る方もいらっしゃるかもしれませんが、そこは2年目のフォローということで研修を提供することで対応したり、2年目の人が次の年の新人のメンターをさせたりすることで「試し」の分の差分は埋めていけます。

 

内製化については、もっと細かく語りたいところもあるので、またの機会に記載しますが、今回は内製化以外にも、そもそも新人研修というものが必要なのかということも気になってきました。研修をしっかり用意すれば用意するほど、新人にとっては、「研修」というサービスを受けるという感覚が強くなるのではないかと思い始めています。ある企業では、最初から配属先が決まっていて、最初から半分は業務をやりながら、新人研修を行うというやり方を取っているところもあって、そこが一番現場との乖離が少なく研修を提供できているような気がしました。そもそも考えことがある人もいると思いますが、エンジニアの研修は、ある程度の業務経験の上に成り立つものもあって、そこをある意味新人にとっては「架空」のプロジェクトでの研修になり、場合によっては現場で使っていない手法を学び、現場にいったら、使わないから…と言われたりすることも「汎用性」を考えると研修の一部として入れています。研修自体がそもそも「何かをできるようにする」という観点で考えると結構難しく、現場で活躍するために使えるものに触れさせておく、鍛えておく、自分で考えられるようにしておく…。というのが今の私の考える新人研修になってきています。

学生の頃にプログラミングや、アプリの開発をしてきている新人もいたり、まったく触ったこともない新人もいたりする中で、画一で、全員が同じことができるようになる学習を提供するのはかなりハードルが高いし、果たしてそれを「達成」させておくことが大事なのかがわからなくなってきています。個別対応すればするほど、講座型の集合学習が難しくなるとは思います。ただし、各自の伸び代、成長にフォーカスをすれば、大勢のメンバーをグループに分けて、それをメンター、ファシリテーターが担当することで対応が可能だと思います。人の関わり方が変わるだけで、関わる人が減ったりすることはないかもしれませんが、どういう新人を現場に入れたいか…というのが明確になれば、そういうスタイルでの研修はできると思いました。

知り合いの研修を担当している人と、最近の新人には、単なる技術の知識だけでなくて、キャリアについての考え方、企業のお金、コストに関することなども伝えて、組織の中で独り立ちできるエンジニアになってもらう手伝いができるば…という話もしていました。

 

さすが、「走り書き」と書いたとおり、ノー推敲でUPしちゃうので、かなりな乱筆で申し訳ありませんが、ここまで読んでくださった方、ありがとうございます。